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youtube動画の補足と雑記

スポンジケーキの話② 配合の違い

【配合の違い】

スポンジケーキは、卵と砂糖と薄力粉の3つがあれば最低限作ることができます。

基本配合は卵100%に対して、20~100%の砂糖と薄力粉を加えます。

 

卵に対して砂糖と薄力粉が少ないほど軽くやわらかい生地になっていくため、最近では少なめのレシピが好まれるようです。

しかし、少なければ少ない程いいというわけではありません。

 

砂糖は卵の泡を安定させ、薄力粉はその泡を支えるという役割があるので、砂糖が少なすぎると生地を合わせている間に泡が潰れて固い生地になり、薄力粉が少なすぎるとグルテンが形成されず、焼成後にスポンジが縮んだり、くぼんだりします。

 

卵100%に対して100%の砂糖と薄力粉を入れるの配合(三同割)は、マジパン細工の土台くらいでしか今は使いません。

昔のレシピ本などで三同割のスポンジケーキの配合が多いのは、デコレーションするクリームが現在のような軽い生クリームではなく、重いバタークリーム等が中心だったため、沈まない三同割のスポンジケーキが使われていたのでは?と思っています。

 

初心者の人には、基本配合が卵100%に対して50~75%の砂糖と薄力粉を加えるものをオススメします。やわらかさもあり、失敗しにくいのはこの辺りかと…。

 

25%以下は、かなり難易度が跳ね上がります。他に追加するバターや牛乳等の材料にも大きく左右されるため、参考にするレシピを忠実に守ることが重要です。

 

 

「やわらかいスポンジケーキを作りたい!」という時

スポンジケーキの膨らみを助けてくれるグルテンですが、その弾性ゆえに多すぎるとスポンジケーキを固くしてしまう原因の1つ。

そのため、やわらかいスポンジケーキを作るには、このグルテンをある程度抑えることが必要になってきます。

グルテン=小麦粉の中に含まれるグリアジンとグルテニンというタンパク質が水分介在下で結合することによって形成されるもの)

 

 

①薄力粉を変える

タンパク質含有量が少なくグルテンが形成されにくい「スーパーバイオレット」等の薄力粉を使ってみてください。

スポンジケーキもそうですがシフォンケーキ等も、ふわっふわに仕上がります。

 

 

コーンスターチを入れる

 近くのスーパーに「スーパーバイオレット」等の薄力粉が売っていない場合

通常の薄力粉の一部をコーンスターチに置きかえるという方法もあります。

 

コーンスターチグルテンを形成しませんが、入れすぎるとグルテン不足で焼成後に縮んだりくぼんだりしてしまうので、あくまでも薄力粉の10~40%を置きかえる程度にしてください。

片栗粉もコーンスターチと同じでんぷん粉なので代用は可能です。

ただし、片栗粉はコーンスターチ以上に粉っぽさが出やすいので、置きかえるとしても薄力粉の20%以下にすることをオススメします。

 

 

③サラダ油を入れる

シフォンケーキのようにサラダ油を入れるという方法もあります。

油脂を入れることでグルテンが形成されにくくなります。

全体の重さ(他の材料の合計)の約5~10%のサラダ油を、薄力粉を入れる前の生地に合わせてください。(別立て法の場合は最初に卵黄とサラダ油を合わせておく。)

 

ただし、ヘルシー系のサラダ油には注意してください。

コレステロールゼロや、カロリーオフのサラダ油の中には乳化剤が含まれている場合があります。

乳化剤が含まれているサラダ油を使うと生地が膨らみにくくなるので、原材料を確認してから使って下さい。

 

 

「しっとりしたスポンジケーキを作りたい!」という時

水分そのものを生地に足すか、吸湿性を持つ転化糖を使用します。純粋な転化糖(トレモリン)は砂糖よりも値段が高く、製菓材料店でしかまず販売されていません。

なので、手軽に購入できる転化糖を含む糖類を紹介します。

 

①砂糖は上白糖を使う

洋菓子作りでは基本的にグラニュー糖を使用しますが、日本人に馴染み深い上白糖には転化糖が噴霧されています。

転化糖には保水作用があるので、グラニュー糖ではなく上白糖を使うことでしっとりとしたスポンジケーキになります。

配合については、上白糖はグラニュー糖よりもやや甘いので、少し減らしてもいいかもしれません。

ただ、転化糖はメイラード反応を起こしやすいため、グラニュー糖を使った場合よりも焼き色が濃くつきます。焦がさないよう注意してください。

そして、その吸湿性ゆえに焼成後に焼き色がベタつき、剥がれやすくなってしまう場合があります。

綺麗な焼き色が求められるロールケーキやシャルロット等には不向きですので、これらに使用するスポンジの場合はグラニュー糖を使用してください。

 

②水飴やハチミツを入れる

水飴やハチミツにも転化糖が含まれているため、これらを使うことにより、転化糖と水分の両方を足すことができます。

砂糖の一部(約10%)とこれらを置きかえ入れてください。

ハチミツの方が身近かもしれませんが、初心者には水飴をオススメします。

ハチミツの種類によっては、そのハチミツ特有の風味がスポンジケーキに強く出てしまい好みが別れるというのが理由の1つです。

もう1つは、ハチミツにはタンパク質を分解する酵素が含まれているため、上記で説明したグルテンに作用(タンパク皮膜が破壊される)してしまうという理由です。

スポンジケーキが重くなったり、焼成後に沈んでしまう可能性が、ハチミツは水飴よりも高いのです。

 

水飴もハチミツも卵(別立て法の場合は卵黄)に砂糖を入れる時に一緒に入れますが、溶け残ってしまうことがあるので、湯煎などで温め溶かしてから入れてください。

 

④水や牛乳を入れる

全体の重さ(他の材料の合計)の約5~10%の水や牛乳を入れてください。

熱くても冷たくても卵の泡を壊してしまうので、約40℃まで温めてから、全て材料を合わせた最後に入れてください

そのまま入れると底に牛乳(または水)が溜まってしっかり混ざりにくいので、入れる際には牛乳(または水)に生地の一部を入れて混ぜてから生地全体に加えて合わせると混ざりやすいです。

 

 

「コクのあるスポンジケーキを作りたい!」という時

無塩バターを入れる

バターを入れると風味が良くなりコクがでます。入れすぎると生地が固くなりヒビ割れしやすいので、全体の重さ(他の材料の合計)の約20%以下にしましょう。

 

水や牛乳と同じく、熱くても冷たくても卵の泡を壊してしまうので、約50℃まで温めてから、全て材料を合わせた最後に入れてください。

そのまま入れると底に溶けたバターが溜まってしっかり混ざりにくいので、入れる際には溶かしたバターに生地の一部を入れて混ぜてから生地全体に加えて合わせると混ざりやすいです。

バターは30℃以下になると固まり始め泡を壊してしまうため、少し高めの温度で合せていきます。合わせた時に生地温度が30℃以下にならないのがベストですが、別立て法の場合等、生地を湯煎にかけていない時は、バターを入れた後手早く型に流し入れて焼成するようにしてください。

 

「卵のにおいを消したい!」という時

バニラオイルを入れる

日本の卵は海外の人からすると、とても生臭いと感じるそうです。

日本は島国ゆえに鶏の餌に多くの魚粉が使われていることがその原因の1つと言われています。ただ、日本人はこの魚粉による味の変化をコクとして感じ、好む傾向にあるため、誰もが悪臭と感じるわけではありません。

スポンジケーキにしても焼成後に残るにおいは微々たるものですし、これを「卵の匂いがする」ととるか、「生臭い」ととるかは人それぞれかと思いますが、気になる人は全ての材料を合わせた最後にバニラオイルを数滴入れましょう。

または、赤玉ではなく白玉の卵を使うと比較的臭いが現れにくいとされています。

 

単純に、スポンジケーキにバニラの香りを付けたいという場合に入れてもかまいません。

バニラオイルではなくバニラビーンズで香り付けをする場合は上記した少量の牛乳で煮出してから加えてください。

 

 

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